和解は、裁判手続の中で判決と並ぶ紛争解決手段です。裁判上の和解には、判決と同様に強制執行を行うことができる強い効力があります。
ではまず、和解は、どのような経緯で成立するのでしょうか?
「弁護士の仕事(2)」でお知らせしましたとおり、裁判では、「書面による主張や立証を通じて多くの争点を絞り込んでいく」という作業を行います。その過程で、「和解」が問題となるのは、主に「双方の書証の提出が完了した時点」です。書面による主張や立証が尽くされた時点で、裁判官が自らの「心証」を双方当事者に告げることができるようになるからです。例えば、裁判官から、「未だ証人尋問を行ってみないとその詳細までは分かりませんが、これまで提出された書面をみる限り、『1000万円の請求のうち、少なくとも700万円については、理由がある』ように考えますが、いかがでしょう?」というような「心証」を告げられ、当事者双方が、和解に応ずるか否かを検討するというような状況です。
ただ和解には、判決に比べた場合、次の様なデメリットがあります。
(1) 請求の全てが認められたり退けられたりするわけではない。当事者双方にとって、「自らの要求が全部は通らなかった」という「煮え切らない」結果となる。
(2) 書面で結論に至る理由が示されない。たとえば、「何故、1000万円の請求について700万円で呑まなければならないのか?」について、「裁判所名での説明する書面」は発せられない。会社組織等では、「稟議に窮する」ということもあり得る。
しかし他方、次のようなメリットもあります。
(1) 双方が解決内容に応じた上で成立するので、その後の不服申立の余地がない。第一審では終わらず、控訴審、上告審という手続が続くことがない。
(2) (1)と同じ理由で、「解決内容の実現が容易」である。判決であればそれが確定しても、「敗訴当事者は意に反して言渡を受けた」状況なので、現実の金銭の確保のために銀行預金の差押・給与の差押等の「執行手続」を行わなければならないことが多いが、和解が成立した場合には、執行に至らずに履行されることが多い。
(3) 和解では、「判決主文」だけでは表せない細かな条件を付することができる。例えば「同じ700万円を支払うとしても、分割の約束をする」とか、「解決内容を第三者には明かさない」というような様々な条件を付することができる。
というような次第で、和解は、「お好みによって選択できる解決方法」としてお薦めの部分があります。
私は、10代の頃、当地名古屋で「国民の便益か?地元住民の被害の救済か?」で争われた新幹線訴訟において「勝訴的和解」を勝ち取った弁護士が、朝日新聞の「ひと」の欄に載ったことが、弁護士の道を志すきっかけとなりました。


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